すごく混んでる駅の前で待ち合わせ中、どっか座れないかなーと歩き回ってたら、ぽっかり空いているベンチを見つけた。
周囲はぎっちり埋まってるのに、そこだけ穴が開いたように人がいないのも、周りの人が不自然に横を向いているのも気になったが、疲れていたので座った。
理由はすぐわかった。
その場所の正面に、パンツ丸見えの女の子が座っていた。

スカートなのに地面にじかに体育座りの上、疲れているのか膝が開いてM字開脚。
姿勢が悪いからパンツも寄れて、隙間から中まで見えそうな状態に。
というか半分くらい見えていた。

新手の痴女か、そういうファッションなのか?
いやそんなわけない、ごく普通のおとなしそうな女の子だ。
なるほどここに人が座らないわけだ。
周りの人も目をそらすよなあ、男性ばかりだけどみんな紳士だなあ、とか混乱しながらいろいろ考え、とりあえず自分も目をそらした。
女の子は携帯に夢中で、自分の状態に全く気付いていない。
かわりになぜか自分が焦りだす。
あれはまずい。
ここは同性の自分が声をかけるべきか。
しかしおそそ丸見えですよとはとても言えない。
見たところ高校生くらいだし、パンツ見られるだけでもショックだろう。
傷つけずに伝えるには何と言えば、とぐるぐる考え込んでると、隣で本を読んでいた男性がすっと立ち上がった。

その人はそのまま女の子に近づき、気づいて顔を上げた女の子の横に回り、自分が座っていたベンチを指してにっこり笑った。

「疲れてるでしょ、あっちに座りませんか」

女の子は一瞬ぽかんとしたあと、(変なのにからまれた!)というように顔をひきつらせ、荷物をまとめてそそくさと去っていった。
男性は無言で元の場所に戻ってまた本を読みだした。
自分はなんかいたたまれなくて、すぐその場を去った。

男性のすごくスマートな誘導の仕方も驚いたし、全く動けなかった自分の情けなさも衝撃だったが、外で見る他人の陰部はもっと衝撃的だった。

男性は、自分が変な奴、と思れるのは気にしてない感じだった。
むしろ狙ってたのかも。
それで女の子は自分がパンツ見せてたことに気づかずその場を離れたし、周りの人はいたたまれない光景から解放されたしだったから本当にスマートで紳士なやり方だと思った。
とっさのとき、ああいう対応できるようになりたい。